2024.09.20
太物ケーブルも自在に加工!難題にも挑戦!ケーブル加工のプロの仕事
「KYOWAの⾦属加⼯ジャーナル」へ、ようこそ!
私たちは、銅加工・金属加工で約100年の歴史をもつ共和電機工業です。
「KYOWAの金属加工ジャーナル」と題したこのコーナーでは、銅をはじめ工業製品に用いられる各種の金属材料や金属加工方法の知識・ノウハウ、加工担当者の仕事内容などをお伝えしています。
今回は、ケーブル加工担当者の仕事をご紹介いたします。ケーブル加工は、金属加工や組立加工と並ぶ、弊社の主要事業の一つです。
ケーブル加工とはどのような仕事なのか、またケーブル加工の分野において弊社がどのような強みをもち、お客様に喜んでいただけているのかもご紹介していますので、ぜひご一読ください。
メカトロ課・ケーブル加工担当 小林 和貴(33)
2015年新卒入社。大学は文系だが、実家が製造業ということもあり、モノづくりに興味があった。就職活動をする中で共和電機工業と出会い、面接時の社長の話や社内の雰囲気に魅力を感じて入社。
現在メカトロ課の中核メンバーとして各種のケーブル加工を担当し、後輩の育成にもあたっている。
「新しい知識や技術の習得」に熱心で、他部署のヘルプも積極的にこなしながらオールラウンドプレーヤーを目指している。
※年齢、在籍年数は記事リリース当時
ケーブル加工ってどんな仕事?
さまざまな機能をもつケーブルを、便利に使える製品へと加工
ケーブル加⼯の仕事って、⼀般の⽅はイメージしにくいのではないかなと思います。できるだけわかりやすく説明してもらえますか。
簡単に⾔えば、予め仕⼊れたケーブルを巻き取って、指定の⻑さに切断して、先端に端⼦やプラグなどの部品を取り付けるのが主な仕事です。ご注⽂によってケーブルの種類や太さ・⻑さ、先端に取り付ける部品や処理などが違ってきます。
多種多様なケーブル加工品を製作しています
ケーブルの外見はだいたい似たり寄ったりですが、中身が違っていて、制御信号を送るための制御ケーブルや、電気を送るための電力ケーブルなど色々な種類があります。いずれも通常は何らかの機器や機械設備に接続したり組み込んだりして使用されます。
私たちはお客様のご注文に応じて、ケーブルを抜き差しするためのプラグや、固定するための端子、電源スイッチなどの部品を取り付けたものをケーブル加工品として納品しています。
ケーブル加工品の用途はさまざまで、現在、比較的多く手掛けているのは溶接機用のケーブルです。ケーブルの片方に溶接機本体と接続する部品を取り付け、もう片方に溶接トーチを取り付けたものです。
溶接機用のケーブルにも色々な種類があり、例えば造船向けのアーク溶接機には、広い造船所内を引きずり回しても大丈夫なように「キャブタイヤケーブル」という頑丈で柔軟なケーブルを用います。またガス溶接機にはガスボンベとつなぐガスホースが必要ですので、ガスホースもよく扱っています。
その他、発電機用、配電盤用、ファクトリーオートメーションのロボット用など多種多様なケーブル製品を製作しています。
品目数は年間でざっと100〜200品目くらいですね。
プラグを取り付けた制御ケーブル
プラグを取り付けたキャブタイヤケーブル
コネクタや端子を取り付けた
電源ケーブル・制御ケーブル
⾃動機械と⼿加⼯を組み合わせてフレキシブルに対応
共和電機工業の特長は「少量多品種対応」ですので、ケーブル加工においても試作品1個から数百単位の小ロット、数千単位の中ロットまでフレキシブルに対応できるよう、工程の全自動化はせず、共通する作業を自動機械で行っています。
ケーブルの巻き取りと切断、巻き取ったケーブルを束ねる紐掛け、ケーブルの先端の被覆を剥がす作業などは自動機械を使って、その他の細かい加工はほぼ手作業です。効率化しながらも、小回りがきく態勢でお客様ごとの細かなニーズにお応えすることができています。
ほんの一部ですが、自動機械での加工と手加工の動画を撮ってみましたのでご覧ください。
職場の雰囲気もちょこっとご紹介
メカトロ課は現在6名。各自が担当する業務はだいたい決まっていますが、手が空いた人が手伝うなど協力しあっています。取り扱う資材の種類がとても多いので、在庫の整理や管理、発注などの仕事も分担して行っています。
ローラー式の作業台。長さ40mの太物ケーブルを扱うことも
毎週月・水・金は課の朝礼
今年新卒入社の後輩に半田付けのコツを伝授
切断したケーブルの先端加工を先輩に引き継ぎ
チャレンジ精神でお客様のお困りごとを解決
最近、新規のお客様から、他社で加⼯不可となった案件をご相談いただいたことがありました。⼩林さんの技術と⼯夫でご要望を実現することができて、お客様にとても喜んでいただけました。
⾦属部品の⾓張った部分に収縮チューブを取り付けたいとのご要望でしたね。部品の形状に沿うように被覆するのであれば難しくはないのですが、それだと部品との摩擦で⾓張った部分の被覆がいずれ破れてしまうので、破れないように被覆できないか?と。
⾓にピッタリ沿わせず、少し傾斜を付けて被覆することで課題をクリアできました。
共和電機には「難しい加⼯でもあきらめずに対応策を考える」という⾏動指針がありますが、チャレンジできる環境って⼤事ですよね。
そうですね、⾃分⼀⼈では不安だったとしても、相談できる上司や協⼒してくれる同僚や先輩がいるので「やってみよう」と思えますね。
それに、歴史のある会社なので技術もしっかり受け継がれていますし、⻑年かけて蓄積されたリソースを使えることも⼤きいなと感じています。
100年の歴史の中で醸成された「強み」
リソースを活かしてコストメリットをご提供
資材調達力があるので試作もお引き受けしやすいです
ホームページを見てくださった方や展示会にお越しくださった方から、試作のご依頼やご相談をお受けすることも多いですが、試作を積極的にお引き受けできる理由の一つとして、共和電機の資材調達力があります。
昔から「少量多品種」に対応する中で、たくさんの調達先を持っているので、基本的にはどのような材料でも仕入れることができるんですね。
また、お見積もりの際は複数の調達先をリサーチして、最も低コストで調達できる業者を選定しています。
その点をメリットだと感じてくださっているお客様もいらっしゃると思います。
太物加工もお任せ。325sqまでの端子圧着に対応しています
ケーブルのサイズは0.5sq〜325sq、細物から太物まで取り扱っています。
これまで幅広いサイズのケーブルに対応してきたということは、幅広いサイズの圧着端子に対応してきたということでもあり、それがコストメリットにもつながっています。ここでいうコストとは圧着工具代です。
圧着端子をケーブルに圧着するには、端子の規格に合う圧着工具が必要になります。もし規格に合う圧着工具がなければ新たに購入する必要があり、その分コストが嵩んでしまいます。
その点、共和電機は長年の多くの加工実績に伴って圧着工具も各規格だいたい揃っています。
「325sqまで対応できるの?」と驚かれるお客様も多いですね。
圧着端子の一例
200sq圧着サンプル
圧着工具(圧着ダイス)
圧着作業
汎用製品の開発など新たな取り組みも
世の中のニーズを満たす製品やサービスを目指して
オーダーメイド品の製作とは別に、汎⽤製品の開発にも取り組んでいますよね。メカトロ課の⽣産能⼒をもっと活かそうという⾃発的な動きですね。
はい。特に他社さんがあまり扱っておられない太物ケーブルを加⼯した汎⽤製品に⼒を⼊れていて、電⼒ケーブルやキャブタイヤケーブルなど、いくつか製品化しています。
ホームページで新製品として紹介している柔軟ケーブルもその一つです。
アーク溶接機の2次側に使うケーブルなのですが、三ツ星の『スーパースターソフト』という非常に柔軟なケーブルに溶接トーチを取り付けたものになります。
現在はアルミケーブルを使った汎用製品を検討中です。ケーブル内部の導体は通常は銅ですが、銅の代わりにアルミを採用したのがアルミケーブルです。銅線ケーブルに比べて約50%軽量化できるので、工場や工事現場などでのケーブルの取り回しがとても楽になります。
また近頃では太陽光パネルに使われている銅線ケーブルの窃盗が相次いでいることから、銅線ケーブルの代替品としてもアルミケーブルが注目されています。
私たちとしても社会的なニーズに注目して、新しい製品を提供していきたいと考えています。
溶接機用柔軟ケーブル
職人不足が問題となっている分野も、共和電機が受け皿に
⼩林さんは技術を⾝につけることにも、すごく前向きですよね。先⽇は外部講習でロウ付けの技術を教わったとか。
ロウ付けはケーブル加⼯ではあまり⽤いないのですが、講習があるならぜひ受けたいと希望して受けさせてもらいました。
ロウ付けについては、世の中的に職⼈の⾼齢化で廃業する⼯場が続出していて、発注先がなくなったというお困りの声をよく聞きます。共和電機が受け⽫になれるように、社員にロウ付けの技術を習得させようという⽅針ですので、⼩林さんの姿勢はお客様のニーズを満たすことにも繋がりますね。
⾃分としても、できることが増えると仕事の幅が広がるし楽しいです。
もともと製造業未経験からスタートしたので、10 年経った今でも、興味が尽きないと⾔いますか、もっと⾊々知りたい、やってみたいという気持ちがずっと続いていますね。将来的には他の部署も経験できたらいいなと思っています。
新卒採⽤も順調ですし、展望は明るいんじゃないでしょうか。他の部署に異動になった時はまたインタビューさせてくださいね。今回はありがとうございました!
こんにちは!共和電機⼯業株式会社・営業課の藤井と申します。この記事のアテンド役を務めさせていただきます。
今回は、ケーブル加⼯を担当している⼩林さんの仕事を紹介していきます。